INTRODUCTION & STORY

主人公・イベント会社に勤める田母神(ムロツヨシ)は、合コンでYouTuber・ゆりちゃん(岸井ゆきの)に出会う。田母神は、再生回数に悩む彼女を不憫に思い、まるで「神」の様に見返りを求めず、ゆりちゃんのYouTubeチャンネルを手伝うようになる。登録者数がなかなか上がらないながらも、前向きに頑張り、お互い良きパートナーになっていく。そんなある日、ゆりちゃんは、田母神の同僚・梅川(若葉竜也)の紹介で、人気YouTuberチョレイ・カビゴン(吉村界人・淡梨)と知り合い、彼らとの“体当たり系”コラボ動画により、突然バズってしまう。イケメンデザイナ一・村上アレン(栁俊太郎)とも知り合い、瞬く間に人気YouTuberの仲間入りをしたゆりちゃん。一方、田母神は一生懸命手伝ってくれるが、動画の作りがダサい。良い人だけど、センスがない…。
恋が始まる予感が一転、物語は“豹変”する――
CAST PROFILE
田母神尚樹 役:ムロツヨシ
1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。1999年、作・演出・出演を行ったひとり舞台で活動を開始。2005年映画『サマータイムマシン・ブルース』(本広克行監督)出演をきっかけに映画にも活動を広げる。近年は、『新解釈・三國志』(20/福田雄一監督)など話題作に出演し、昨年は映画『マイ・ダディ』(金井純一監督)で初主演を務め、今後の公開待機作には『川っぺりムコリッタ』(22 年公開/荻上直子監督)がある。吉田組は『ヒメアノ~ル』(16)以来の出演となる。
COMMENT
今の世相をこんな描き方するなんて。どう演じよう?などと考えていたが、
結果、自分ではない自分を観ることになった。
"演じている自分"にここまで腹立ってムカついたこともない。
無様な姿にここまで憐れんだこともない。
笑ってしまうほどに。
仕上がりを観た後、監督に感謝し、そして言ってしまいました。
「監督、あなたすごいです」
この時代にこの役を演じられたことを少しだけ喜べたんです。
川合優里 役:岸井ゆきの
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年ドラマ「小公女セイラ」で女優デビュー。以来、映画、ドラマ、舞台と話題作に出演し、2018年主演を務めた『おじいちゃん、死んじゃったって。』(森ガキ侑大監督)では第 39 回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞を、2019 年同じく主演を務めた『愛がなんだ』(今泉力哉監督)では第 43 回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。今年は主演映画『やがて海へと届く』(22/中川龍太郎監督)、『ケイコ、目を澄ませて』(22/三宅唱監督)に、また出演映画『大河への道』(22/中西健二監督)と公開が続く。吉田組は『銀の匙 Silver Spoon』(14)以来の出演となる。
COMMENT
久しぶりの吉田組、毎日笑い転げて夢のような現場でした。
短くもたのしい時間を過ごした男女が、欲望や嫉妬ですれちがい、
いがみ合うけれど心の底からは嫌えない。嫌えないから罵りあう。
素直になれたら別の結末があったはずの、ダサくて滑稽な愛憎のお話。
誰かとはぐれてしまった人に見てほしいです。
みんな必死に生きてます。必死に生きて、この有様です。
みんなどこか、身に覚えがあるかも?
劇場でお待ちしています。
梅川葉 役:若葉竜也
1989年6月10日生まれ、東京都出身。 2016年、映画『葛城事件』(赤堀雅秋監督)で第8回TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で数多くの作品に出演。2021年には『街の上で』 (今泉力哉監督)で映画初主演を務め、以降も『あの頃。』(21/今泉力哉監督)、『くれなずめ』(21/松居大悟監督)、『前科者』(22/岸義幸監督)等、話題作への出演が続く。
人気 YouTuber チョレイ 役:吉村界人
1993年2月2日生まれ、東京都出身。 2014年『ほとりの朔子』(深田晃司監督)で映画デビュー。以降、数々の映画、テレビドラマに出演。2018年には『モリのいる場所』(沖田修一監督)『悪魔』(藤井道人監督)『サラバ静寂』(宇賀那健一監督)『ビジランテ』(入江悠監督)にて第10回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞を受賞。また今年は『遠くへ、もっと遠くへ』(いまおかしんじ監督)、『人』(山口龍大朗監督)の公開が夏に控える。
人気 YouTuber カビゴン 役:淡梨
1997年8月10日生まれ、兵庫県出身。 モデル、俳優として活躍。近年の出演作には、『スペシャルアクターズ』(19/上田慎一郎監督)、『エッシャー通りの赤いポスト』(21/園子温監督)等がある。
村上アレン 役:栁俊太郎
1991年5月16日生まれ、宮城県出身。 2012年、映画『東京プレイボーイクラブ』(奥田庸介監督)で、俳優デビュー。以降、『猿楽町で会いましょう』(21/児山隆監督)『弱虫ペダル』(20/三木康一郎監督)『るろうに剣心 最終章 The Final』(21/大友啓史監督)、『桜のような僕の恋人』(22/深川栄洋監督)等話題作に出演。今後は『生きててよかった』(鈴木太一監督)の公開が5月13日に控える。
PRODUCTION NOTE
見返りを求める男と恩を仇で返す女
 2018年、これまで『さんかく』『ヒメアノ~ル』でタッグを組んだ吉田監督と石田プロデューサーとの新たなオリジナル企画として始まった、本作『神は見返りを求める』。「見返りを求める男と恩を仇で返す女」による愛憎劇を描くという吉田監督のアイデアから始まり、女優と映画監督、ミュージシャンと音楽プロデューサーといった、さまざまな世界で起こり得る関係性が候補に挙るなか、ヒロインとして底辺YouTuberが決まる。対する男性の設定は、監督が頭に思い描いたキモカワなぬいぐるみ・ジェイコブの存在ありきということで、それを所有していそうなうえ、動画制作もできるスキルも持っているということで、イベント会社勤務になった。
大喜利大会のような感覚も加わった脚本づくり
『BLUE/ブルー』のクランクインを目前に控えた2019年夏から秋にかけ、イベント会社などの取材を経た吉田監督は脚本に着手。自身が主宰するワークショップで思いついた、“自撮り棒をフェンシングのように相手に向ける”という、これまで見たことのない光景が核となり、“いい感じになった2人の関係性が崩れていく”おなじみの吉田節が展開。両者がYouTube撮影を通じて、ディスり合うことで、地獄のようなバトルが繰り広げられることになった。これまで手掛けてきた脚本では「登場人物の感情を追いかけながら書いていた」と語る吉田監督だが、今回はそれに「イラッとする動画は?」といった、まるで大喜利大会のような新鮮な感覚もプラス。そんななか、いちばん吉田監督の頭を痛めたのは、対立する2人の物語の終着点だった。それは同時に監督が望む展開でもあり、最終的には決して綺麗にまとめたくない思いを優先することになった。
吉田組経験者がぶつかり合うキャスティング
 吉田監督の当初のイメージは、意外にも『Shall we ダンス?』の役所広司ばりにジェントルマンだった田母神役は、「できるだけ、とんちんかんな映画にしたい!」という監督の思いを体現してくれるムロツヨシに決定。遊び心ある芝居ができる役者ということもあり、『ヒメアノ~ル』に続き、2度目となる吉田組参加となった。一方、実際に底辺YouTuberが演じる案もあったゆりちゃん役は生徒役の一人として、『銀の匙 Silver Spoon』に出演していた、岸井ゆきのに決定。当時から、一見動物的に見えつつ、じつは緻密な芝居でリアリティを生む芝居を高く評価していた吉田監督にとって、“また撮りたい女優”の一人だった。そんな彼女がさまざまな経験を経て、ふたたび吉田組に参加することになった。また、田母神の同僚であり、ゆりちゃんのあいだを行き来する梅川役には、「いい意味で映画らしさを感じさせるうえ、どんな役柄でもハマる巧い俳優」ということから、若葉竜也が吉田組初参加となった。
監督曰く「これまでにないほど、緊張しない現場(笑)」
 クランクインは2020年11月10日。東京近郊を中心に、和気藹々と撮影が行われ、吉田監督曰く「これまでにないほど、緊張しない現場(笑)」だった。スケジュールの都合から順撮りができないこともあり、ゆりちゃんの変貌を垣間見ることができるファミレスでの田母神とのシーンも、わずか1日で撮影されている。そんななか、吉田監督がいちばんこだわったのは、劇中に数回登場する田母神のセリフ「クソ天気いいな」に象徴される、天候の日取りと太陽の角度だった。それにより、本作の核となる“自撮り棒でのフェンシング対決”では、バカバカしいはずなのに、逆光の効果もあって、画が妙に美しいあまりに泣けてくるというギャップを生み出している。また、YouTubeの描写に関しては、BANされる規制の問題など、劇場公開までに、どのように変わるか分からないことを見据えた。そのため、あえて今っぽいことをやりすぎず、テクニック的には三段階のパターンで表現することに。また、ゆりちゃんのボディペインティングに関しては、「気になる女性が自分の知らないところで、あんなことをしていたら……?」という吉田監督が持つ男の嫉妬心を具現化することになった。そして、11月30日に無事クランクアップを迎えた。
遊び心たっぷりのオープニングに、キュンとする青春ソング
 観客に「ナニコレ?」と思わせるための演出もあり、本編のファーストカットは覆面YouTuber・マリオによる配信から始まるが、その前には配給会社であるPARCOのクレジット・ロゴが“YouTube広告”として表示されるなど、『犬猿』の予告編にも通じる、遊び心たっぷりのサプライズ・オープニングを用意。また、編集段階でカットするシーンが、ほとんどない吉田作品だが、本作に限ってはゆりちゃんのボディペインティング後、カラオケボックスでYouTuberキムニーにドッキリを仕掛けるシーンが全カット。田母神の微妙な心情を優先した理由からだが、現場でも大爆笑だったシーンだけに、ソフト化での映像特典収録も期待されるところだ。その後、編集された本編を、3人組音楽プロジェクト空白ごっこに観てもらい、主題歌を依頼。吉田監督が「キュンとする青春ソング」を要望したところ、メンバーは「サンクチュアリ」と「かみさま」という対照的な2曲を制作した。どちらも気に入った吉田監督は、田母神とゆりちゃんの距離が縮まっていく点描で流れる挿入歌で「かみさま」を、さまざまな余韻が残るエンドロールの主題歌として「サンクチュアリ」を使用することになった。
YouTuberに対するリスペクト
「自分が愛せるほど、可愛らしい作品になった。誰が喜んでくれるか分からないけれど……(笑)」と語る吉田監督。「以前はYouTubeに対して、多少なりとも偏見があったが、それは映画が世に出てきたときの舞台人の反応にも似ているかもしれない。自分も時代の移り変わりとともに、どこか取り残された感覚を持っているから」とも語る吉田監督は、YouTuberに対するリスペクトを込めて、ゆりちゃんのファンがサイン会で発する「残るものって、そんなに偉いんですか?」というセリフを書いたという。 「残すのではなく、あくまでも人を楽しませるのがエンタテイメントの真意。『神は見返りを求める』を通じて、そういった新しい感性を共有しなきゃいけないし、自分も映像作家として、歴史に名を残す映画にしがみつくのではなく、もうちょっと考えを柔軟にしなきゃいけないことに気づかされました」

(文・構成/くれい響)
監督 𠮷田恵輔
音楽:佐藤望
【主な作品】
映画『映像研には手を出すな!』(20/英勉監督)、『AWAKE』(19/山田篤宏監督)の音楽や、『羊と鋼の森』(18/橋本光二郎監督)、『さよならくちびる』(19/塩田明彦監督)などの演奏指導を担当。
撮影:志田貴之
【主な作品】
『しば田とながお』(12/ヤン・イクチュン監督)、『三つの光』(17/吉田光希監督)、『青い、森』(20/井手内創監督、内山拓也監督)。𠮷田恵輔監督作品では、『さんかく』(10)、『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(13)、『麦子さんと』(13)、『銀の匙 Silver Spoon』(14)、『ヒメアノ~ル』(16)、『犬猿』(18)、『愛しのアイリーン』(18)、『BLUE ブルー』(21)、『空白』(21)を担当。
照明:疋田淳
【主な作品に】
『わさび』(16/外山文治監督)、『勝手にふるえてろ』(17/大九明子監督)、『青い、森』(20/井手内創監督、内山拓也監督)をの照明を担当。𠮷田恵輔監督作品では、『犬猿』(18)、『BLUE ブルー』(21)、『空白』(21)を担当。
録音:鈴木健太郎
【主な作品】
『新聞記者』(19/藤井道人監督)、『ブラック校則』(20/菅原伸太郎監督)、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20/武正晴監督)、『鳩の撃退法』(21/タカハタ秀太監督)、『ニワトリ★フェニックス』(22/かなた狼監督)など。
美術:中川理仁
【主な作品】
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17/廣木隆一監督)、『不能犯』(18/白石晃士監督)、『劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 映画になってちょーだいします』(20/三池崇史監督)、『明日の食卓』(21/瀬々敬久監督)など。
編集:田巻源太
【主な作品】
『南瓜とマヨネーズ』(17/冨永昌敬監督)、『空に住む』(20/青山真治監督)、『わたし達はおとな』(22/加藤拓也監督) など。
主題歌「サンクチュアリ」
挿入歌「かみさま」
空白ごっこ
下北沢発、インターネットシーンを中心に活動中。何もないけど何かある「空(くう)」の世界観を「心」に例えて、その精神世界で遊ぶ(ごっこする)ことをコンセプトにした音楽プロジェクト。楽曲のエネルギーに負けないパワフルでエモーショナルなヴォーカルを「セツコ」が担当し、「koyori」「針原翼」がそれぞれの特徴を活かした楽曲を制作している。2019年12月に動画共有サイトに『なつ』を投稿して依頼、136万回再生超の『運命開花』をはじめ、TVアニメ「プラチナエンド」のエンディングテーマ『ラストストロウ』などで音楽シーンで話題となる。結成2年を迎え、初の映画主題歌『サンクチュアリ』を挿入歌『かみさま』を書き下ろす。また、現在放送中のNHK Eテレ新番組「スクる!」テーマ音楽の担当。5月には初のワンマンライブが控え、音楽ファンから高い注目を集めている。

公式Twitter:https://twitter.com/kuhaku_gokko
公式HP:https://www.kuhakugokko.com/

主題歌「サンクチュアリ」&挿入歌「かみさま」
6/22より配信開始!
https://lnk.to/kuhakugokko_sanctuary
監督 𠮷田恵輔
(よしだ・けいすけ)
1975年5月5日生まれ、埼玉県出身。
東京ビジュアルアーツ在学中から自主映画を制作する傍ら、塚本晋也監督の作品の照明を担当。2006年に自らの監督で『なま夏』を自主制作し、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門のグランプリを受賞。2008年には小説「純喫茶磯辺」を発表し、同年、自らの監督で映画化して話題を集める。近年の主な作品は、『ヒメアノ~ル』(16)、『犬猿』(18)、『愛しのアイリーン』(18)等がある。昨年公開された『BLUE/ブルー』『空白』では、第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞にて監督賞を受賞し、また『空白』は、第76回毎日映画コンクール・脚本賞、第43回ヨコハマ映画祭では作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞と4冠に輝いた。
COMMENT
久しぶりにキュンとする作品を作りました。
まあ、私のキュン感覚はだいぶズレてる気がしますが・・・・
「恩を仇で返す女」と「見返りを求める男」の心温まりづらいラブストーリーを楽しんでもらえたら幸いです。
〔主な監督作品〕
2006年『なま夏』/『机のなかみ』
2008年『淳喫茶磯部』
2010年『さんかく』/『BUNGO-日本文学シネマー「檸檬」』(※テレビドラマ)
2013年『ばしゃ馬さんとビッグマウス』/『麦子さんと』
2014年『銀の匙-Silver Spoon』
2016年『ヒメノア~ル』
2018年『犬猿』『愛しのアイリーン』
2021年『BLUE ブルー』『空白』